3 年 ―― Passage of Three years ――









「3年、だな」
ベッドに寝そべったままぽつりと呟くと、隣に座って巻物を読んでいたサスケが顔を上げた。
「ん?」
穏やかに問い返されて、オレは幸せをかみしめる。
サスケを見つめたまま、オレは再度口にした。
「3年、オレ達が同居始めてからさ」
オレの言葉に、サスケはわずかに眉を上げて答えた。
「ああ…」

そして、サスケはどこか遠い目をした。

「ああ、…そうだな…」






サスケが木の葉に戻ってきてからすでに3年半になる。
サスケを取り戻すための長い道のり。
そして、自分の気持ちの正体に気づいた時の衝撃。
サスケを自分のものにしたい、オレはずっとそう思っていた。
友達という関係では我慢できないほどに。
自分のサスケに対する欲望に気づいた時、オレは打ちのめされた。
オレの想いは叶うことはないと、ずっとずっとオレはそう思っていた。

でも、サスケはオレを受け入れてくれた。オレを受け入れ、オレを愛してくれた。

サスケがオレを受け入れてくれた、3年の歳月。
その間にたくさんケンカもした。
たくさんたくさん、愛し合った。
日々の積み重ねの中で、お互いの気持ちに不安を持ったこともあったかもしれない。
少なくともオレはいつもサスケのことが心配で、どこかに行ってしまわないか不安で。
特に任務で離れている時は、サスケが恋しくて恋しくて、おかしくなっちゃうんじゃないかと思うくらい恋しくて。

人を好きになるって、こんなことだったんだ。
こんなに幸せで、こんなに辛いことだったんだ。
サスケはそれをオレに教えてくれた。
たくさんの喜びや、たくさんの苦しみを、オレはサスケから学んだ。
こんなに一緒にいるのに、オレはサスケに未だに囚われている。
いや、たぶん一生、オレはサスケのことを特別な感情をもって想い続けるんだろう。


今までの3年。
その前の長い間のサスケの不在を思うと、サスケがオレと一緒にいてくれたことがまるで夢みたいに思えて、オレは再び不安になる。


「ナルト」
サスケがオレの頬にそっと触れる。その温かい指先に、オレはなんだか泣きたくなる。
サスケサスケサスケ…。
ここにいてくれるのが奇跡のように思えて、こんなに幸せになっていいのか不安で、オレは自分の気持ちが爆発しそうな、大声で泣きたいような気持ちになるんだ。

サスケはオレの上に覆いかぶさると、触れるだけのキスをした。
その柔らかくて甘い唇の感触が切なくて、オレはサスケをぎゅっと抱きしめる。

「なんて顔してやがる」
オレに抱きしめられたまま、耳元でサスケが囁いた。
「ん?なんか変だったか?」
オレは泣きそうな気持を抑えてへへっと笑ってみせた。その声に、サスケがオレの顔の両脇に手をついて、少し体を起こした。
「フン、3年経ってもどこか頼りねえな、お前は」
サスケはそう言って穏やかに笑った。

サスケの頬にそっと手を伸ばす。

「ありがとな…」

それだけ言うのがやっとだった。
それ以上何か言えば、オレはきっと声を上げて泣いてしまう。

「ナルト…」
サスケはオレの前髪を梳いた。
「泣くな…」
その言葉に、涙がこぼれた。

「お前はいつまで経っても泣き虫だな」

オレは泣きながらへらりと笑った。
サスケはオレの目尻に唇を寄せて、そっと涙を吸ってくれた。


「ごめん…」


ごめんな。
いつまで経っても頼りなくて。
いつまで経ってもお前に甘えていて。
いつまで経っても泣き虫で…。


頼りないオレだけど、愛してくれて、ありがとう。


そして、できるならこれからも、オレのそばにいてください…。








「ななくみ」の相棒、愛する「Honey Crime」七実さん
お誕生日プレゼントとしていただいてしまいました〜!!!
今はオイラなんぞの誕生日に関わってる場合じゃないくらいにご自身が
大変なときに、わざわざ私のために書いてくれたんですよーー(号泣)
まさに愛!!(じーーーん)
いただいたお話は、七実さんの優しい心遣いがそのままサスケの優しさになって
表われていて、ナルトの気持ちにシンクロしてしまって、私はもううるうるしちゃいましたよ…(涙)
最近心身ともに弱っていたので、余計に心に沁みましたですよ><
サイト三周年でUPさせてくださいっ!と申し出をしましたら、七実さんはたいそう
恐縮されたんですが、いいんです!私が嬉しくて見せびらかすためにUPするんですから!
ということで、皆さんにも癒しをお裾分けですvvv
どうぞ楽しんでいただけましたら嬉しいですvvvv
七実さん、大変なときに本当に本当にありがとうね〜〜!!
どうぞこれからもよろしくお願いしますねー!