FORTUNE☆TELLING

 

 

 

 

 何のことない日曜日。そして千尋の部屋。

 ハクと千尋は、特に何をするわけでもなく、ベッドに背を預けて床に座り、時々お互いの手を触ったりしながら、何のことない時間をすごしていた。

 

「ねぇ、ハクって自分の誕生日わかる?」

「どうだろう―――――…河で暮らしていた頃は、日にちという概念がなかったからね」

 

「じゃあ、”ニギハヤミコハクヌシ”ってどんな漢字を書くの?」

「……人は私をコハクガワと呼んだが、それこそ人によって字は違っていた…

 旧書体などどれも正しいだろうし、私には関係ないから」

 

「うーーーー…じゃあ!

 血液型とかは?」

「血液型?」

 

 そこまで言って、千尋はしゅーんとしてしまう。

 どれか一つくらいは、判るかなって思ってたのに。

 

「どうしたんだい?千尋」

 先ほどまでと違い、黙り込んでしまった千尋の顔を、ハクが覗き込む。

「…相性占いをしたかったんだけど…

 誕生日もダメだし…画数もダメだし…血液型占いも無理でしょ?

 ホロスコープも五行も誕生日が判らないとできないし…」

 

 やけに世間で相性占いが流行る時期がある。千尋の学校にも例に漏れず、そのサイクルが廻ってきていた。

 やっぱり好きな人との相性は気になるもの。

 

「どれかひとつでも占えれば、もしかしたら…って不安が消えるかなって思ったんだけど…」

「占い…」

 そうつぶやいて、ハクは千尋から目を逸らす。

「千尋は、私と千尋の相性が良くないと思っているのかい?」

「―――え?」

「占いは絶対だからね。

 もし…相性が悪かったら、もう私とは会わないつもりなのかい?」

 伏目がちに告げるハクに、千尋はブンブンと首を縦に振った。

「ち、違う!そんなコト、考えてもいない!」

 

 ハクと千尋の世界観は微妙に違う。

 確かに聞いたことがある。

 占いは絶対で、占いの結果によっては、我が子ですら殺してしまう頃もあったと。

 きっと…ハクにとっての占いがそれ。

 

 ここでもまた、ハクと千尋の「占い」への価値観がすれ違う。

 千尋にとっての占いは「いい結果だったら信じよう」的な軽いものだったわけで。

 

 ―――悪かったらもうハクに会わない…

 

 そんなコトは考えていなかった。

 

「千尋は、私との相性が悪いと思うのかい?」

 ハクはおもむろに千尋を抱きしめ、問い掛ける。

「悪いと…ヤダ…」

 ”良い”という決定打がない限り拭いきれない不安。

「悪い訳ないじゃないか。

 何度も別れがあったけれど、何度も私たちは出会えている」

 確かに。相性が悪いのなら、一度目、ハクは千尋に気づかなかっただろし、

 二度目―――三度目の再会もなかったと思う。

 そう考えると、きっと相性は良いんだと思う…思うけど―――――。

 やはり千尋もオンナノコなのだ。

 自分だけではどんどん不安が大きくなっていってしまう。

 

 

 けれど、ハクに「悪くない」と言ってもらえるだけで。

 そんなハクを見ているだけで。

 不思議。

 だんだん胸に棲みついていた不安もなくなっていく。

 

 

「……そうだよね。うん、もしたとえ相性が悪くたって、良くしちゃえばいいのよね!!」

何か吹っ切れたように笑う千尋を見て、ハクも彼女に微笑を返す。

「それに……」

 くすりと笑って、ハクは千尋の内股を撫で上げた。

「ひゃっ」

「こちらの相性も悪くないと思うし」

 そう言いながら、ハクは千尋の体を撫でまわしてて。

「コ…コチラって……」

 微妙な台詞に、彼女は一気に茹でダコになってしまう。

 

 コチラって…

 やっぱりアチラなワケで―――――…

 

「………」

 耳元で囁かれた内容に、千尋は言葉をなくしてしまう。

「……もし、不安になってしまう時があるのなら――――――…」

 ハクは千尋を持ち上げると、そのまま彼女のベッドへ横たえた。

「そのたびに安心させてあげるから―――――」

 体を縫いとめられて、キスが降ってくる。

 あっという間に千尋は身動きが取れなくなってしまう。

「ちょっ!ハク!何でこうなるの!?」

 ハクを渾身の力で押し返そうとするが、彼の体はびくともしない。

 その間も、千尋のスカートの中に入り込む不埒な手は止まらなくて。

 時々敏感なところを触れていく。

 

「そなたは先ほど、不安になったと言っていた……

 だから、そんなことはないと、体に覚えてもらうのが一番だろうと……」

「大丈夫!もう、安心したから!!」

 

 でも、もう既にハクは臨戦態勢に入ってしまったようで。

「お父さんとお母さん帰ってきちゃう…」

「大丈夫だよ、結界を張っておくから…」

「ちがっ……んふっ……」

 

 それだけじゃないんだってばーーーー!

 シーツ洗って乾燥機が回り終わるまで。

 お父さんとお母さんが帰ってきませんように――――――。

 

 そんなことを考えながら、千尋は無駄な抵抗を諦めた…

 

 

 

 

 

 

 

 そして後日。場所は変わってハクの家。学校の帰り。

 

「千尋…さっきから何を読んでいるのだい?」

「え?雑誌だよ?

 えっと、今週の運勢は…っと…

 えっ、うそ、恋愛運最悪だって!」

 金銭、健康運、全体運がなまじ良いだけに、何だか腑に落ちないものを感じる。

 なんか悔しい…

 

「ふーーーーん…」

 

 ハクの声のトーンが少し下がったことに気付き、千尋はしまったと思う。

「ハ、ハクの運勢も見てあげようか?」

 実際星座も判らないのだが、とりあえず話の矛先を変えないと…!

 

 ……と思うが、やっぱりもう今更らしい。

 

「恋愛運なんか関係ないってコトも…教えてあげた方がいいのかな?」

 そう笑うハクの目は、決してにこやかなものではなく。

 

 

 千尋は「やっぱり今週の恋愛運、当たってるよーーー…」と、心の中で思うのだった。

 

 

 

 

結局なんなのか良く判らないまま終わってしまいました…
…なんだったんでしょう…ごめんなさい…
いや、ハクってすっごい素性不詳だなーって思ってたらこんなんなってしまったのです。
だんだん壊れっぷりに拍車かかってきてるし…(涙)