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ちひろスクランブル
まだ仕事にはちょっとだけ早い時間。 いつもどちらかというと『遅組』の千尋とリンは、珍しく早めに部屋を出て、誰も歩いていない廊下を二人トタトタと歩いていた。
そしてリンは、さっきからちらちらと、自分を伺うように見ている千尋に声をかける。
「なンだよ、さっきから。言いたいことがあるなら、聞いてやるから言ってみな?」 「えっ……」 なんで判っちゃったんだろう…とびっくりする千を見て、リンはここまで考えてることが読めるヤツってのも、めずらしいなぁと思う。 「え、えっとね…」 急にもじもじ。 『できの悪い子ほど可愛い』じゃないが、人間でしかもトロい千は、リンにとってかなりウエイトが大きくなってきていた。 可愛い妹のようで。また、可愛い娘のようで。 「あのね…リンさんの胸、触らせてもらってもいい?」 「ムネぇ?」 「だ、だめならいいのっ…気にしないでっ!!」 赤くなって自分の胸の前で、わたわたと手を振る姿もやはり可愛い。 別に自分にソノ手の趣味があるわけじゃないが、こんな彼女を見るともっとからかいたくなってくるから不思議だ。 「別にかまわねぇけど… オレにも千の胸触らせてくれるンなら触ってもいいぜ?」 そういって、リンは腰に手を当て、ほら、と大きな胸を差し出してきた。 「えっえっえっ…わたし!?」 予想していなかったリンの返事に、千尋はまたまたびっくり。 「だってそうだろう? 千はオレの胸触って、オレは何も無しじゃ損したみたいじゃんか」 ……そ、そういうモノなんだろうか・・・ でもまぁ、リンさんだし…。 「わかった……わたしの触っていいから… さわらせて?」
そうまでして触ってみたいのか…?と思いながらも、リンはそらっと千に近づく。
ふにっ
おそるそる千尋が手を当てると、弾力のあるソレは柔らかに彼女の手を押し返す。
ふにふにっ
両手で脇から触って見ると、実は見かけよりも大きいことが判明する。
――――やっぱり大きい方がいいのかなぁ… ――――ハクもこんな感じなのかなぁ… ……わたしの胸、小さいけどさ…
そんなことを考えながら、満足したのか千尋はリンの胸から手を離した。 「ありがとう…いいなぁ、大きくて…」 「おう、もうイイのか? じゃ、次はオレな」 「リンさん?」 千尋は、いきなり自分の背後に回ってしまった彼女を、目で追いかける。 すると。
「きゃぁ!?」 後ろから回り込んだ彼女の手が、思いっきり千尋の胸をぐいっと掴んだ。 そしてそのまま力強く揉まれてしまう。 「リンさん!!何してるのっ!!!!」 「触ってるだけだって。だいぶ大きくなったじゃねーか」 そう言って今度は、両手で下から持ち上げるように、ゆさゆさとゆすってきた。 「ほら、重量感も出てきたし…」 「ちょ、ちょっと!わたしそんな風にしてないってば!!」 「気にすんなって」 「気になる〜〜〜〜っ!!」 ……まぁ気になるって言っても、えっちな触り方なわけでなく。 ヘンな気も起きないから、イイっていうか、でも良くないっていうか…… 「ココまで大きくなったのは、ヤツのせいなのかねぇ…」 やけにしみじみとした声。 しかし千尋は、まだリンに解放してもらえない。 「何言ってるの!!!」 「ま、今のまんまならもっとでかくなるって……げっ」 「……げ…?」
急に、自分の胸を揺らしていた彼女の手が止まったので、気になった千尋は、彼女の視線を追う。 と。
――――――……げっ。
廊下の曲がり角で鉢合わせたのは、この姿では一番会いたくない… 「ハク!」 「千――――――…」 「あっちゃぁ…」
けれどもリンは千から離れようとせず。 明らかに不機嫌そうなハク。
三竦みのような状態に、千尋は冷や汗をたらりと流す。
ハクの眼は明らかに「こんなところで何をしているんだ」といっている。 しかしリンの手前、強くも出られない…そんなところだろうか。
「なーに露骨にイヤそうな顔してんだ? ま、女同士じゃなきゃこーんなところでこーんなコトできねーもんな」 いいだろ〜?そう言ってリンは、中断していた手を再び動かす。 (リンさん!ケンカ売ってどうするの!!) 千尋は小声で抵抗する。 (大丈夫さ、まだ仕事の時間じゃねぇからな) 「…………」
今は大丈夫でも、後で大丈夫な保証はないんだってば!
心の中で千尋は叫ぶが、事態は一向に良くはならなそうで。 「いいじゃねぇか、千の胸はお前のものってわけじゃないんだし」
わたしの胸はわたしのものよーーー!!
千尋は再び心の中で叫ぶが、怖くて口には出せない。 「…………」 ひたすら沈黙するハクに、千尋は小さな不安を覚える。
「千……」 ハクはすっと二人の方に近寄って一言。 「今夜、部屋で待っている。一人で来るんだ…いいね?」 ――――――やっぱり〜っ!! びくっと体を震わせた彼女に覆い被さっているリンは、ココで引き下がってたまるかよ。と更にハクをあおる。 「ざーんねんでした。今夜はもうオレと予約済みなんだよ、な?千」 「う、うん……」 そういえば、さっき部屋を出るときに「夜、見せたいものがあるから空けときな」って言われたっけ……
「……そうか。ならいい。 ――――――…仕事に遅れないように」
不機嫌をあからさまにした声で。 そう言ってハクは二人の脇を通って、どこかに行ってしまう。 とうとうハクの姿が見えなくなって…
「きっもち〜なー。千!見たか!?ヤツの顔!」 リンはすこぶるにこやかだ。 「すっげー悔しそうだったし…ふふん、ざまぁないね」 大きくガッツポーズ。 そして、やっと千尋はリンから解放される。 「どうしてくれるのよ!?すっごい機嫌悪そうだったじゃない〜〜〜っ」 何も言わなかったのが余計にこわい。 千尋は『今夜以降』を考えて頭を抱える。 「ま、気にすんな。昨日ヤツに散っ々小言言われてよー。 でも!やっとすっきりしたぜ」 「……あああ…明日が怖い……」 真剣に困った顔をする千をみて、リンは更に追い討ちをかける。 「大丈夫だって!そのときはまたオレが助けてやるからよ」 実際、ソレが一番彼を煽る原因だとは思っていないのか…… いや、それもワザとなのか。 リンは、千の肩をどーんと叩いた。
そして後日。案の定、千尋はそのコトでとばっちりを受けてしまうのだが…。
リンは味をしめたのか、その後もハクの前で、ワザと千を自分のモノのように扱う。 よってその反動が、そのまま千尋に返って来て。
当事者の千尋が、一人貧乏くじを引いたような状態。
―――わたしが何したって言うのよ〜〜〜っ!!!
千尋の災難はまだまだ続く☆
リンクお礼でBRAVEさんに捧げさせていただきます。 「ハクとリンが千尋のとりあい」というリクエストでした。 なんだかとりあいっていうか…その… ―――こんなんで心苦しいのですが、今後ともよろしくお願いします。 そして…… すみません!!! リンと千尋のいちゃいちゃ書くのがすっごく楽しかったんです!! そんなわけでやけにハクが少ないんです!! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ! ……とりあえず死んできます。 |