初めて唇同士が触れた――
それをファーストキスというのなら。

俺にとっては「アレ」が初めて・・・ってことになる。
12のとき。下忍説明会の教室で。
しかもあのウスラトンカチとの初めての、っておまけがつく。
・・・認めたくないが。
アレが数のうちに入るのは大いに不本意だ。




 kiss more




食事も風呂も済ませ寝るまでの間、巻物や忍術書を読む習慣はいつもと変わりがない。
変わったことといえば。
こうやって過ごす夜が今は独りじゃないってことだ。

巻物を読む俺を見つめる、視線を感じる。
熱くて、物言いたげで、痛いくらいの。
こんな風に見つめられる意味も理由も、留まることのない想いもわかっている。
わかっていても、なかなか素直になれなくて。
俺は素っ気ない態度になってしまう。

「・・・なんだ」
巻物から目を離さないで俺が問いかけると、ナルトが意を決したように近寄ってきた。
傍まで来たものの、ナルトはじっと黙ったまま俺を見ている。
こうやって沈黙を作るナルトにはどうしても慣れない。
最近増えたそれは決して嫌なわけじゃない。普段賑やかな分、戸惑ってしまうのだ。こんなナルトに。
ひとつ、息を吸う音が聞こえ、ナルトがやっと口を開く。
「・・・サスケ。キスしても、・・いい?」
すぐ隣でじっと俺を見る眼差しが熱い。触れてもいないのにナルトの熱を肌で感じる。
俺はわざとゆっくりナルトと目を合わせる。
頬の丸みが消え、こんなオスの表情をするようになったナルトにどきりとさせられる。
わざとゆっくり目を合わせるのは、自分を落ち着かせるためだ。
どきりとするのは、その表情の意味を知ってしまったからだ。
それなのに。
何を聞いてくるんだ、コイツは。今さら。
「・・・いちいち、言うんじゃねえ」
俺は顔が赤くなりそうになるのを眉間に皺を寄せて必死に堪える。

17になった年。
長かった正体不明の「友情」にケリをつけて、俺とナルトは一線を越えた。
それは身体が芯から焼き切れてしまうほど熱くて熱くて。
気が遠くなるような痛みを抑えつけ、ただぶつけ合うような本当に不器用な交わりでしかなかった。
でも相手への想いが強すぎて、どうしたらいいのかわからなくなっていた俺たちにとって、そんなセックスでもやっと行き場を見つけた想いが放たれて――
一緒にいる意味と、熱を分かち抱き合う安堵をようやく手に入れることができたのだ。
こうなることが俺とナルトには必要だったのだと。
今ならはっきりとわかる。
その後、俺の身体は散々だったけど。

それなのにこのウスラトンカチは。
あんなことをしておいて、だ。
キスをしていいか、だと!?
今さらキスするのにいちいち聞くな!!聞かれるこっちの方が恥ずかしいんだよ!!
「だって・・・。前にしたらいきなりするな!って怒ったじゃねえか」
「あれは!お前がいきなりすぎたからだろ!?」
いきなりすぎて、歯と歯がぶつかるキスなんてお粗末すぎる。そのことを言っているのに、「だったらどうすればいいんだってばよ・・・」とナルトは俯いてふて腐れている。
もっと空気を読め!てめえはムードがなさすぎなんだよ!
・・・・・・ムードって。
俺は今、ものすごく恥ずかしいことを思わなかったか?
ひとり頭の中でくらくらしていると、ナルトが不思議そうな顔で問いかけてくる。
「サスケ??」
俺ははっとして気を取り直し、そっとナルトの頬に手を伸ばす。触れた瞬間、ナルトがぴくりとして、空色の瞳をじっと俺に向ける。
「別に言わなくても・・・」
俺を見ていいかどうか判れ、とそっと呟きナルトに顔を近づける。
触れた唇はまだどこかぎこちない。
でも初めてのキスよりは成長している。
まだ互いを確かめ合うことを手探りで始めたばかりだ。
触れ合った唇が離れ、間近で見つめ合う。
ナルトの空色の瞳の中にいる自分を確かめる。同じように俺の瞳にもナルトが映っているだろうか。

恋がれて止まない相手が近くにいる、安堵。
温かさにくるまれる感覚にゆっくりと瞼を閉じて、今度は少しだけ深く唇を重ねた。


もっと近くに。

もっと感じたい。


キスの数だけ、もっと。







だあぁあ〜〜〜・・・・!!
少年ナルサスは 難 し い っ っ っ ! !
ち〜っとも初々しく書けないよぉ〜〜(泣)
両想いになるあたりの話は、ナルサススキーとしては避けては通れないところなんですが、
私は「ガラスの十代」(ふ、古い・・)を書くのがどうしてもヘタクソです。
穢れた大人だからなのか・・・?
頭の中はこんなにメルヘンなのにっ!(単に頭の中がお花畑になっているだけだ)

このままでは引き下がれないので(苦笑)
煮え煮えの大人ナルサスで続きを書きました!(鼻息)
続きというよりは繋がりのある話です。大丈夫な方は下よりどうぞ〜・・・(汗)  




  kiss more 2 (大人ナルサス・24歳くらいだと)