恋人たちの Sweet Night −ナルサスVer.−
3. Turn サスケ
何だか結局はこうなってしまうんだろうか。
ほだされすぎてしまうオレが悪いのか。
あまりにもコイツがウスラトンカチすぎるからなのか。
大体大きなナリをして寂しそうにしゅん、とするのは反則だと思う。
まるでオレが悪いことをしたのか、傷つけてしまったのか、と不安になってしまうのだ。
だが最近はオレがほだされるのをわかっていて、火影は大げさにしてみせているような気がする…。
ああでも、『喜んでないとは言ってない』と言っちまった…。
内緒で部屋を改造するためにわざわざ任務に出したことや、勝手に貯金に手を付けたことにも確かにオレは腹が立っていた。
しかし必要以上に怒っていたのは、自分の勝手な思い込みで余計な嫉妬に狂っていたからだ。
火影のクリスマスに対する思い入れも十分にわかった。
昔話したとかいう、その雑誌のクリスマスとやらはオレはよく覚えていない。何となくだが鼻で笑ってくだらねぇ、と言った記憶はうっすらとあるが…。
いろいろ企んでいたのもオレと一緒に過ごしたかったから、と言われれば、半分八つ当たりみたいな怒りなのだ、引っ込まざるを得ない。
それが男のロマンとどう繋がるのかはわからねぇが。
ああ、思いっきりほだされてる気がする…。
でも何だかもういいや、と思えてきた。
いや、それよりも、だ。
オレが勝手に嫉妬に狂っていたのは火影には知られたくはない。何故かこういうことにはやたら勘が働く火影なのだ。
現に、金のことだけでオレが怒っていたんじゃない、と感づき始めている。
火影に突っ込まれて、うっかりと墓穴を掘ってしまう前に、目の前の男が望んだクリスマスを過ごすことにしよう、とオレは思い始めていた。
でもオレはとことん素直じゃないのだ。
「じゃあ、今日はオレとここでクリスマスしてくれるか?」
とにやりと笑って問いかけて来る火影に、オレは仕方なく折れたフリをして舌打ちをする。
「仕方ねぇだろ…。こんな風に全部模様替えしちまいやがって…。ほんとにお前はいつまで経ってもウスラトンカチだな」
素直の欠片もなく不機嫌に言ったというのに、火影は嬉しそうに笑ってオレに抱きついてくる。
「ありがとな、サスケ〜!」
オレの素直じゃない部分を、コイツはありのまましっかりと受け止めてくれる。
火影のこういうところに、オレがほだされる原因があるのだと思う。
半ば取っ組み合いのような始まりだったが、直に触れ合っている互いの身体から想いはじわりと伝わってくるのだ。
火影も寂しい想いをしたのだろう。それはオレも同じなのだと、触れ合う身体が物語っていた。
毛皮の上に押し倒されると、そのまま火影にきつく抱き締められる。
少し苦しくてオレがもがくと、仲直りのチュウな、と恥ずかしいことを言いながら火影の顔がゆっくりと降りて来る。
オレは、今度は何も抵抗はしなかった。
ところが、あと少しで唇が触れるというところで、
「お前らだけでずりぃーってばよ!!」
と料理の支度をしていた分身のナルトが走り寄ってきた。
あ。すっかり忘れていた。
オレが組み敷かれたまま分身の方へ視線を向けると、火影がすかさず印を結んで分身を消してしまった。
「これで邪魔者はいなくなったってばよ」
「邪魔者って、自分の分身だろうが」
自分で分身を出しておいて、しかも料理の支度までさせたくせに、大層な物言いだ。
「たとえ分身だって、サスケには指一本触れさせるかって」
相変わらずストレートに想いをぶつけてくる。オレとは真逆だ。
木ノ葉の六代目火影に自分はこんな言葉を言わせるのだ、とオレは心の中でひっそりとほくそ笑む。
そんな気持ちが表れていたのだろう、独占欲丸出しの火影の言葉にオレが目だけで微笑むと、火影は食らい尽くすようなキスを仕掛けてきた。
「…あ‥っ…」
肌に直接触れる毛皮が、くすぐったいような感じがする。
いつものさらりとしたシーツとは違う感覚に、肌が敏感に反応しているみたいだった。
オレはベストもアンダーも取っ払われてしまい、火影に胸の尖りを執拗に嬲られていた。尖りの一方を唇で食まれ舌で転がされ、反対側を指で捏ねられると、オレの身体は何度も跳ね上がる。
そうやって動いてしまうと、毛皮の感触がさらに肌を刺激してくるのだ。
まるで快感に追い討ちをかけられているようで、オレは身体が溶け出すのが早くてうろたえていた。
こんなことならベッドで続きを、ともっとごねればよかった、とオレは後悔した。
キスを絡め合った後、すぐ服を脱がしにかかって来たので、ここでヤるのか!?と言ったのだ。
こんな毛皮の上だと落ち着かないと思ったからだが、ここでヤるんだ!と言い張って火影は譲らなかった。
さらに火影が、
「ここでヤることに意味があるんだってばよ!!」
とものすごい意気込みで熱く抜かしやがるから、そのまま流されてしまった…。
火影が胸の尖りだけでなく、身体中のいたるところに唇を滑らせては吸い付いてくる。やっと消えたと思った痕がまた身体中に残されるのかと思うと、溜息が出そうになるが、火影の執着の証かと思えば悪い気はしなかった。
火影の手と唇が休むことなくオレの身体を愛撫してくる。
相変わらず毛皮が肌を刺激していて、さらに火影の愛撫で身体のあちこちから快感が生まれてきて、オレは火影の背に回した手でもっとしがみついてしまっていた。
オレの様子に、火影が肌を這わせていた唇を離して笑っているのがわかった。
笑ってんじゃねぇ!と思うものの、再び快感に攫われて文句も掻き消えてしまう。
身体を這っていた火影の手が、下へと降りていく。
火影はオレのズボンの前を寛げると、そのまま下着の中へと手を滑らせてきた。オレは短い喘ぎを上げて、身体を仰け反らせる。
「サスケ、もうこんなになってる…」
仰け反らせた首筋に唇を這わせていた火影が、嬉しそうに呟く。
「…うるせぇ…。てめぇだって‥おんなじ、だろうが…」
オレの身体に触れている火影の中心も、すでに硬く勃ち上がっているのはわかっていた。オレの言葉に、火影は反対の手でオレの手を掴んで、自分の硬くなった分身に触れさせる。
「あったりめぇだろ?一週間ぶりなんだ、生のサスケは」
生ってなんだ、生って。オレは鮮魚か?
ムードがない、と火影にはいつも嘆かれ、そんなお前はデリカシーがない!と言い合いになるもんだが、そんなことを考えていたら、ぐっと勃ちあがった分身を握りこまれて短い叫びを上げる。
「お前、わかってねぇだろ?オレがどんだけお前を抱きたくて抱きたくて仕方がなかったかって…」
顔は笑っているが、火影は蒼の瞳に狂暴な獣の色を浮かべてオレの瞳を覗き込んでくる。
烈しく欲しがられて、オレの身体はぞくりと震えて、快感が走る。
わかってないのは、お前もだろう?
言葉と視線だけで、オレをこんな風にできると、お前こそわかってるか?とオレは言い返してやりたい。
言うことは簡単だが、オレはあえて言うことはしない。言えない、というのが正しいのかもしれない。
素直じゃないオレは言葉で言えない分、身体で想いを伝えるしかない。
「…ごちゃごちゃ言ってねぇで、さっさと来い…」
煽るようにオレは瞳に精一杯の色を浮かべて言うと、火影の分身に触れていた手を動かす。
握りこんで上下に擦り上げてやると、火影の顔にはありありと興奮が表われて来た。
どうやら煽ってやることはできたらしい。
身体をブルリと震わせた火影が、たまらねぇ、と呟くと、オレは一気に下着ごと剥かれていた。
→ 4. Turn ナルト