AFTER DAYS 14 真宮真吾の視点


 クラス会も十年経ったら『よう、久しぶり!』と『アレ誰だっけ?』に分けられてくるもんだと思う。もう何人か子供がいるヤツや、若いのに髪薄ーく、なってるヤツとかもいるわけで。ああ、十八のころはぴちぴちだったわけだよなぁ。誰もかれもオッサンくさい顔してさ。そういう自分も似たようなもんだけど。
「なぁ真宮」
「んー?」
 会場になってる某ホテルのパーティールームの前で出席者の確認をしていた(つまり幹事を押し付けられた)俺の背後から声。
「もしかして、家族付きって俺だけか?」
 振り向くと、キレーな奥様つれた樋口がちょっと困ったな、って表情で立っている。
「なにをイマサラ。大体オマエが男ばっかり集まっても面白くないから連れて来ていいか、っていうから、こういう格好にしたんだろうが」
「だから、ほかにも居るだろうと思ったんだよ。今、見たら男ばっかりだし」
 何を言う。見せびらかしたかっただけだろうがよ。自分の妻。どこぞのご令嬢だとかで、二年ほど前の結婚式はバカほど有名人呼んで派手にやっただけじゃ気がすまなくて今日も自慢したくて連れて来たくせに……
「他に居ないなら居ないって、なんで言ってくれなかったんだ」
「逆ギレすんなよ。言いだしっぺのクセに。居るよ他にも。まだ来てないだけで」
 全く。樋口入れて五人も居るぞ五人。三年一組の同窓生が三十八人。そのうち関東に居なかったり用事があって来れないヤツを引いた今回の同窓会の参加者は二十六人。二十六分の五。少なくはない。
 誰もかれもそんなに自分の女見せびらかしたいか。どうせ俺なんか彼女居ないし、見合いしても断られたし。
「そうか」
 他にも居ると聞いて明らかにほっとした表情になり、少し怒ったような顔をしていた奥様をなだめて樋口が会場に入っていく。がーっ! ベタベタしてんじゃねぇっ
「受付が後ろ向いてんじゃねーよ」
「だっ」
 上から声と手刀が落ちてきた。
「礼良っオマエその言葉と手が一緒に出る癖なんとかしろ」
 そういうところは姉弟だよな。それ言ったら百六十七センチしかない俺なんか、文字通り吊るされるから心の中だけで納得。
 言いながら振り返る。コイツもその五人の一人だっけ。
「安心しろ、俺もやる相手は選んでるから」
 選ぶな。
「ココ、名前書いて。同伴者一人で良かったよな?」
「何人も連れてくるやつなんか居るのか?」
 指で示した名簿の欄に自分の名前と彼女の名前。会費もここで徴収。
「彼女の苗字も」
 井名里礼良の名前のあとに彼女の名前だけ。そう言ったら堂々と『〃』で済ませやがったこのやろう。
「……ちょっと待て。お前、結婚したの?」
「悪いか?」
「悪いわ!! 初耳だぞ」
「言ってねーもん」
「言えっ! そういうことはする前にっ」
「なんでオマエに」
「新郎姿の礼良見て笑うために決まってるだろうが」
 他に何の理由が要る。
「………なかよし?」
「誰と誰がだ?」
「先生とこのヒト」
 それまで黙って礼良の隣に立っていた彼女が、礼良をからかうように笑いながら言う。
「もっと待て!! 先生ってオマエ」
「おう。生徒。つい二週間前まで」
 堂々と言うな堂々と!! それは立派に犯罪だぞ。ってことは何か? この子はまだ十八か?
 面白そうに笑っている彼女を見る。うーんどこかで会ったか? 見たことある気がするんだけど……えー……あーうーん。
 あっ! おもいだっ………して、ない。うん。思い出してないです。何にも言わないからそんなにらむな。忘れたからっ!! もう覚えてもないですからっ!!
 何とかカオの筋肉をフル稼働。ヘラっと笑ってやるとニヤっと笑い返された。あと五秒この視線受け続けたら石か灰になる。ああ怖かった。久しぶりだったからこの眼力への抵抗力落ちたみたいだ。止まってた心臓がその分取り戻すためにばくばく鳴ってる。
 アレ? あれって確かちょうど二年くらい前だよな? ってことは、この子はいくつのときにあんなと………
「もう考えないってば!!」
 ふと疑問に思ってそんな考えを巡らせたら刺すような視線がっ! 相変わらずなんて察しがいいんだ………
 卒業して、会うのも年に何回かになったのに、どうしてこんなに以心伝心なのか? そんなもん、伊達に六年同じ部屋で寝起きしてたわけじゃない。
 彼女のほうはもちろん俺のコトなんかカケラも覚えてるはずがない。怪光線でそうな勢いで俺のことにらみつけてる礼良の背広を引っ張って小声で何か喋ってる。
「ああ。哉は? もう来てるのか?」
「哉?」
 哉も五人のウチの一人。礼良はともかく、あの哉が。あの。哉、が。言っちゃ何だけど。ステキに性格壊れてる哉のこと嫌いじゃないけど。あの、哉に………女がいるなんてこの目で見るまで信じられない。
「さっき連絡あって、二十分くらい遅れるって」
「ふーん。速人は欠席だろ?」
「そう」
 いろいろごちゃごちゃあったから、こういうとき速人は来ない。個人的に飲み会やったりするときは来るけど。
 俺からそう聞いて、彼女に伝言。礼良がでかいから気づかなかったけど、彼女のほうもカナリ上背がある。もしかしなくても俺よりでかい。なに食ったらそんなでかくなれるんだ?
 受付終了まであと五分。
「今、八割方集まってる。樋口が連れいるぞ」
 そうかと応えて実に自然に。ナニがって腰に手を回すほうも回されるほうもっ! なんでそんな慣れてるんだお前ら。
 

 予定時間五分回ったところで、遅れる連絡のあった哉のほかにも来ないやつは居たけど受付終了。出入り口にボードを置いて勝手に記帳して入るようにしてから中を覗く。十年経っても仲のよかったグループとそうでなかったグループは、やっぱり分かれるものらしい。
 ウチの学校のクラス分けはえげつなくて高校は五組まであるんだけど、一組からアタマのいいやつ詰めていくわけ。
 礼良は問答無用で六年間トップだったからもちろんずっと一組。他にも十人くらい落ちたことのないメンツがまず一グループ。それから、高校からの追加組。中学からの在学組をなぜかライバル視してて、絶対歩み寄りはない。
 そのほかが、浮沈み組。何回か二組三組にオチながらも、なんとか高校三年のとき一組に残った連中。ここは、何とかしてトップグループとお近づきになりたくて仕方ないのだけど、どうにもなぜか、見えないオーラに阻まれて礼良たちを遠巻きに見てるだけ。一人例外を除いて。ちなみにさっきの樋口はこのグループ。
 礼良たちの後に来たほかのカップルが居たからあっちはあっちで女性陣もいて、別でグループを形成している。向こうの女性陣は三人とも二十歳超えてるみたいで、若さもキレイさも礼良のところのが勝ってる。
「今回トラブルメーカーが一人もいないのは呼んでないのか? 真吾」
 高校三年生のときの担任は呼んでも来ないので、締める人間のいない会場中に入るとなし崩しのようにはじまっている。飲み物を取って自分が寄生するグループに加わる……自慢だけどこう見えて一応、トップ十から落ちたことはなかったのよ、俺。
 礼良の彼女を中心にしてできた輪の中に入ると辺りを見回した小笠原藤司(おがさわらとうじ)がニヤニヤ笑いながら聞いてきた。
「呼んでないわけないだろう……声かけたよ」
 返事はもちろん『絶対行くから』呼ぶのも怖いけど呼ばないともっと怖い。
「前のとき幹事やった三次(みよし)が一ノ瀬になにされたか知らないやついないだろうが」
 思い出しただけで怖い。
「大丈夫だろ真吾、オマエ今、身一つだし」
「そっちは問題じゃない!! あいつに職場に乗り込まれてみろ、次の日から出勤できないくらい完膚なきまでにやられるだろうが!」
「そーだなー三次クン、今なにしてるかなー」
 気楽そうに藤司が天井を見上げて言う。オマエなぁ、あいつ連絡先、今本当にわかんねーんだよ。家のほうに連絡入れたら逆に知らないかって聞かれたんだぞ。捜索願、警察に出してるけどわからないってお母さんに泣かれたんだぞ?
 どこかで三次の亡骸が、野ざらしになってないことだけを祈ろう。
「大体フツーさ、性別変わっても来る? クラス会」
 来ない来ない。フツー来ない。三次だってそう思って呼ばなかったに違いない。でもあの一ノ瀬をフツーという定義の中に入れた三次も、もうちょっと考えて行動するべきだっただろう。
「それってミカさんのこと?」
 そうだよー……お嬢さんホントに背が高いねーぎりぎり見下ろされない限界からの視線。
「そうそう。一ノ瀬のこと。お嬢さん知ってるの?」
「うん。この服もミカさんとこの」
 彼女のセリフにみんなの視線が一人に集中する。
「なんだよ」
 いや。なんでもない。けど、よく会えるよな……俺は未だにあの一ノ瀬には慣れない。性別変わって、なんだかより怖さが倍増した気がするのは……絶対気のせいじゃない。
「ヤツが来るまで待とうかと思ったけど、顔知ってるなら面白いものを見せてあげよう」
 そう言って、藤司が笑いながら壁に並べてあるイスに置いた荷物のなかの茶封筒を取って、中から見覚えのある装丁の本が。
「お前……そんなもん持ち歩いてるのか?」
「まさか。今日はゲストがあるって聞いてたから特別」
 見間違いでなければ卒業アルバムだ。第百十八期卒業生の。
「見たい?」
「見たいです! 先生の本棚変な本ばっかりでアルバムとか一つもないもん」
 ぱーっと顔を笑顔にしてから、思い出したみたいに彼女が礼良を見て、全身から『見たい』オーラを炸裂させている。そう言う無駄なエネルギーって十代の特権だよな。
 ため息混じりの了解を取り付けて彼女がうれしそうにアルバムをめくっている。
「お前、本の趣味まだ統一してないのか?」
「俺がどんな本読もうがいいだろう。お前相変わらずマンガばっかり読んでるだろう」
「ばっかりとか言うな」
 失敬だな。小説も読むぞ。ライトノベルがほとんどだけど。
「今もいらなくなった本、実家に送ってるのか?」
 そう、昔もそうだった。哉がみかん箱空けるのと礼良がそれに収まるくらいの量の本を貯めるのが大体同じサイクル(春夏秋冬、いつもぴったり過ぎて不気味だったから、観察していくうちにそれは礼良が勝手に食べたり食べなかったりして調節してたってのが分ったんだけど)だからいつも有田とか愛媛とか書いてある黄色い箱に、ジャンルも大きさも何もかもバラバラの本をがっちり詰め込んでこいつは実家に送りつけてた。
「こないだ引っ越して今住んでるところは書庫があるからそっちにつっこんでる」
「あ、そう」
 いいね。書庫。俺も欲しいよ。本ってほんとに、気付いたら増殖してるから。エンゲル係数ってあるけど、俺の場合はホンゲルだもんな。計算するの怖いからしたことないけど。
「じゃあ継森さん最近仕事減ったんじゃないのか?」
 で、高校のときの夏休みに遊びに行ってびっくりしたよ。あの分類不可能と思われる本が、全部あの家の執事さんの手によってきれいに分けられて本棚に収まってた。ちょっとした図書室レベルで、すごいですねと素直な感想を述べたら礼良の為に改築して作った部屋で、ヤツの父親もそのまた父親も、いろんなところに同じような部屋を作っていたらしい。
「まあでも、あれももういい年だしな」
 ああ、そう言えばあの人幾つなんだろう。十年前に会ったときすでに老人だった気がする……
「先生先生っミカさんってホントにものすっごーい、美少年っ!! だったんだね」
 セリフの中にバンバン溜めいれて、握りこぶし震わせながら嬉しそうに彼女が報告にくる。
「あ、先生も若かった。髪減った? った……いたたっゴメンナサイ、ウソです」
 どうにも彼女の興味はオトコだった頃の一ノ瀬に向かってて、礼良のことは二の次の上に暴言。間髪いれずにこめかみをぐりぐりとグーで締められている。
「薄くはなってないはずだけど、あの頃のハリとコシはなくなったよな……」
「藤司も?」
 ああそれ、最近実感。昔はほっといたら一日ついてた寝癖が午前中に治まるのは、髪も弱ってるって証拠。
「十年って無情だよな」
 遠い目で言うな。なんだかものすごくジジイになったような気がするだろう。
「あ」
「え?」
 回りなんかお構いなしって感じでべたべたしているカップルは、見てると胸焼けしそうだから意図的に視界から外していたけど、その片割れが短いつぶやきと一緒に入口の方を見たからつられてそちらに目をやると入ってきたのは哉。
「哉ーこっ……」
 こっち、って呼ぼうとして、言葉が切れた。手もあげかけたまま非常に中途半端な高さで止まってしまった。
 ざわざわとしていた会場が、一瞬ぴたりと静かになる。
 いや別に、哉が珍しいわけじゃなくて。哉はこういうのには結構付き合いが良くて、ほぼ毎回参加してるから。一次会のみだけど。
 哉じゃなくて、そのうしろ。
 すげー美少女。
 あー型採って等身大フィ……
「ぎっ」
「変なこと考えてんじゃねえ」
 すいませんでした。
 ちょっとどこかに意識が行きかけた。思い切りいつも通り殴られたと思うんだが、痛くないから不思議だ。
 会場内を一瞥もせずにまっすぐこっちに向かっていた哉が足を止めて振り返る。
 ってお前、もっと早く気づけよ。付いてきてないこと。
 遅れて来たせい、ばかりではなく中にいた人間みんなにじっと見られて、入り口で少女が固まっている。
「樹理」
 しんとしてしまった会場内に哉の声が響いて、ちっちゃくなっていた少女がその声がスイッチが入ったのかぱたぱたと小走りに哉に追いつく。
「樹理ちゃーん」
 久しぶりー。元気だったー? きゃーかわいー。その頭自分でやったのー? 変じゃないー……
 たった二人でその場がおそろしいくらい華やぐ。すごいな。女の子って。
「夏清ちゃん、結婚のお祝いね、今日持って来ようと思ったんだけど、どうしても手で持てるサイズでいいのが見つからなくて、ちょっと大きめだから宅配便にしちゃったの。明日のお昼くらいには着くと思うんだけど」
「わーありがとう」
 ハイ。樹理ちゃんと夏清ちゃん。インプットオッケー。実は受付で名前書かせといて、読み方がわかんなかったんだよね。礼良の彼女。
 若くてかわいい女の子が二人、顔と顔が五センチくらいの距離で内緒話。いいなぁ混じりたい。
 じーっと様子を見ていると、夏清ちゃんのほうがこっちを見て笑う。なんだろうと思ったら、ニヤって笑って。
「え? 夏清ちゃんどうしたの?」
 ああっ!!!
 突然ぎゅーっと抱きしめられて、樹理ちゃんのほうが驚いてる。
「うん。なんとなく。優越感」
 すぐに体を離して、笑いながら夏清ちゃんがそう言う。なんだその優越感って! がーもう。羨ましいけどっ! 本気で。
「礼良。お前のとこの、やっぱりお前と一緒にいるくらいだよな」
「なんだそれは」
 だってもう、やることも笑い方も、よく似てるし。
「いやー!! かーわーいーいっ!!!」
 うわぁ
 いつ来たんだ? 今だよな。一ノ瀬みたいにやかましいの、来たらすぐ分る。ずっと少女二人に気を取られていたのでいつ入ってきたのかは分らなかったけど。
 そうそう、浮沈み組みの除くべき一人はもちろん一ノ瀬。中学一年生から高校二年生までずっと最下クラスだったのに、高校三年生のとき突然一組に上がってきた。
 実はヘラヘラ遊んでただけで、一ノ瀬はやればできるタイプだと知ったのは卒業するときだったけど、どうしていきなり一組に上がったのか聞いたら『卒業した後は一組が一番面白そうだったから』だそうだ。つまり、ヤツはこういう場で騒ぎを起こすのが大好きなのだ。
 樹理ちゃんのほうをがっしりそのままお持ち帰りしそうな勢いで抱きしめて一ノ瀬が嬉しそうに叫んでいる。
「あら、哉ちゃんひっさしぶりー」
 すい、と現れた哉に、夏清ちゃんがこちらもすすっと場所を譲る。
 めり。
 ばり。
 擬音が付いたような気がするのは俺だけ? 一ノ瀬の腕をこじ開けて、中にいた樹理ちゃんを哉が奪取。怖いよー……哉。目がマジでしょ。
「え? ごめん、この子、哉ちゃんの?」
 一ノ瀬に聞かれて哉が頷く。違うだろ、持ち物じゃないだろお前ら。
「すっごいかわいかったからつい。もうしないから許して?」
 表情を変えないまま、哉がもう一度頷く。そんなあっさり許されるなら俺もやったらよかった……
「え? え? え?」
 夏清ちゃんのときと一ノ瀬のときの哉の対応の違いに、哉に固定されたままの樹理ちゃんが、頭だけ動かして周りの人物たちの顔を確認している。
 確かに。一ノ瀬は知らない人間が見たら完全に女の外見だからな。胸もあるし。
 夏清ちゃんも一ノ瀬も楽しそうに笑ってるだけ。パニック寸前の様子で首を回して誰かに答えを求めてる。答えてやれよ。みんな笑ってないで。
「ウチの学校、男子校だよ」
 空白。
「………っえええっ!?」
 何て言うの。うーん。どこでもいっしょのトロが『ガーン』ってなったとき白目で口が四角くなるでしょ、あんな顔。もしくは同じ状況に置かれたフルバの透?
「でも今は女の人だよ」
「………」
 夏清ちゃんがまた余計なことを言うので樹理ちゃんは黙ったままじーっと一ノ瀬を見ている。
「そうそう、今はね。でもだめ? もう触ったらだめ?」
 じりと近づこうとする一ノ瀬。樹理ちゃんを閉じ込めたまま引きずってバックする哉。
「うーん。ウチの服着せたいなー今度連れて来て」
 応えはNO。
 なんでって、やっぱり哉がバックしたから。
「だめか」
 ちぇーっと言いながら一ノ瀬がそれ以上近づくのをやめる。それの一拍あと、哉がやっと樹理ちゃんを離す。
「おもしろーい。先生先生っ」
 うん確かに………で、なにしてるのキミは。
 礼良を呼びながら、夏清ちゃんが一ノ瀬にしがみついている。
「きゃー夏清ちゃんいいにおいー」
 二人できゃあきゃあ言いながらくっついて礼良を見る。
「………いい度胸だな、つよ……」
「ぎゃー!! やめろ! 言うなっ!! 離すからっ!!」
 面白がっていた一ノ瀬が夏清ちゃんをはがして礼良に返品。一瞬の出来事で対応しきれなかった彼女がまたグーでこめかみをぐりぐりされて悲鳴を上げている。
「ほんと、面白いなぁ来てよかった」
 藤司がしみじみと、グラスビール片手にそう言った。

                                        2002.5.3=up.





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