ばれんたいん きす  2


 うわーもう、いやだなぁ家帰りたくないよぅ
 たぶんね、もう家にいるよアノ人。時々びっくりするくらい帰りが早いの。生徒より帰るのが早い教師ってどんなもんよ?
 ああ、なんで今年のバレンタインは木曜なんですか? 月水金ならバイトもあるから遅くなる口実オッケーなのに。
 今日はなんか、みんなそわそわしてて浮かれてて、男子も女子も。草野さんの提案でさ、女子から男子全員に義理チョコ渡したのね。もちろんホワイトデーにお返しもらうため。ウチのクラス、女子の三倍男子がいるわけだから、男子が女子と同じだけ一人予算つけたら女子はそのまま三倍のお返しがもらえるってわけ。考えたら簡単だけど思いつくあたりが草野さんらしいって言うか。誰も損しないでしょって。でもなんか、だまされてる感じがするのはなぜ? 特に男子。
 はー。
 気が重ー。アノ人、あの日以降ホントにめちゃめちゃ機嫌がいいの。クラスのみんなが変に思うくらい四六時中機嫌がいいの。絶対絶対変なこと考えてるんだよ。昨日すごい帰り遅かったんだけど、お帰りって言ったらニヤって笑ったのよ。
 あああああああああっ!! あの笑い方っ!! 思い出しただけで全身寒くなるよ。
 一応…晩ご飯の食材と一緒に買ってきたのよ、チョコ。実冴さんがさ、おいしくて簡単にできるの教えてあげるって。昨日教えてもらったのね。すごいおいしかったんだけど。
 
 
 このチョコ、また塗られるんだろうか。考えたら鬱はいりそうだわ。
 
 
「ただいまー」
 やっぱりいた。今五時回ったばっかりくらいだよ? ホントにこの人、仕事してるんだろうか?
「おかえり」
 うわ。声がご機嫌だ。それ聞いて逆に私のテンション下がりっぱなし。
 買い物したモノもってリビングに行くと、広くないテーブルにいろいろ広がってるの。布。
 布。いろとりどり。白いのとか紺とか赤とかピンクとか水色とか。
 服じゃない。これ服じゃないよ!!
 無駄にフリフリしてるのとか、絶対一人で着ることができなさそうなのや、胸元が怖いくらい開いてるのとか、スリットの位置が絶対ムリなところにあるのとか。
「どうした?」
 絶句したまま立ち尽くしてると、いつのまにか人の後ろに回りこんでた先生がコートのボタンに手をかけてる。ハッ!! ナニされてるんですか自分!!
 どうした? じゃなくてねっ!!
「なんなのよコレっ!! どこから持ってきたのこんなものっ」
 ウルトラミニのナース服。胸を覆う部分が十センチもないハイウエストのメイド服、もちろんフリフリレースのペチコートが裾からはみ出すミニスカート。胸の間のとこが思いっきり開いてて、腰の位置までスリットが入った、やっぱりミニのチャイナっ!! これらなんかまだマシな方。
 あとねーもっと得体の知れない服。きっとゲームかなんかのキャラクタがきてる衣装。羽飾りがついたレオタード…ナニコレ? トラ柄のね、ビキニもあるよ…ちゃんと同柄のレッグウォーマー付き。
「ああ、好きなの選べよ」
 それ私の質問の答えになってない! 選べないわよ、こんなの。
「やめてよぅ勝手に服、脱がすのっ」
 だから私も先生の命令に従わない。誰が選ぶか。コートはともかくかけてたマフラーも取られて、制服の上着のボタン外してリボンタイまで手がかかってるの。器用に解いてさらにシャツのボタンにかかる手を止めるために掴む。
「だって脱がなきゃ着替えられんだろうが」
「だからっ! まだ着替えるって言ってないじゃない!!」
「早くしないと俺が選ぶぞ」
 左手がスカートのホック外して、ファスナー下ろしてる…
「やー」
 スカートが落ちないように押さえたら、先生の手は持てないわけで。あっという間にボタン全部外されてるよ…もうやだこの人。シャツも上着もコートも全部一緒に脱がされる。腕に全部服の重みがかかるけど、抜いたら最後だ。
「オーソドックスに行くか」
 ちょっと待ってってば! こういうのにオーソドックスとかイレギュラーとかあるの!? 全部変じゃないっ!!
 いいながら先生が選んだのは、ナース服。私に被さるようにしながら腕を伸ばしてそれを取って、次の行動。
「なっ別に外さなくていいじゃないそんなものまでっ!!」
 ブラ外された。
「いいだろ別に。着て外出するわけでもないし。あ、出かけるか? コレ着て」
「いっやーっ!!」
 往生際悪く腕に服絡めてても、上半身もう全部、なんも着てないのよ? 信じられる? 家に帰って来てまだ五分経ってないのよ?
「こっちも脱ぐか」
 疑問形じゃなくてなんだか自己完結したようなセリフはいて、先生の手が下のほうに伸びる。
「やだぁやめて。わかったから、それ着るからっ」
 カラダを捩って先生から離れる。自分で脱がなくても腕だけ普通に横にたらしたら服なんかぜーんぶ、勝手に落ちちゃう。渡されたパステルブルーのナース服を抱いて、体を隠す。
「着、着替えるから、部屋…」
「ここで」
「えー」
「言うこと聞くって言ったのは? 俺は約束果たしただろう?」
 …その約束、させられたこと自体がおかしいんじゃないかって思うんだけど、私が間違ってる?
 向かい合って、見られながらってすごい恥ずかしい。だからもうナニ言われてもいいやって思って背中向けてそれを羽織る。
 …ナース服だよね? なんでノースリーブなんでしょう? 他の服が奇抜で気付かなかったけどコレもすごい胸元が開いてるし…丈、短ー…すかすかするー
 服の中に入った髪を出して、首だけ回して振りかえる。なんだかも、ホントに嬉しそうね。
「ほんとにこれ、ドコで手に入れたのよ?」
 修学旅行の時のアレも、コレも誰に聞くの? 売ってる所…
「気になるなら連れてってやろうか?」
「エンリョシマス…んっやん」
 後ろから脇に手を回されて、腕で胸、寄せるみたいに。
「いい眺めだな」
 開いた襟元からのぞく胸の谷間。普通にしてたらないけど、寄せてあげたら一応できる…一応、ってのがちょっと悲しいけど。
「触ってないのに勃ってるぞ」
「ちがっ! ぁあんっ」
 確かに触られてないけど、服脱いだことや、生地で擦れたからで、コレ着て興奮してるとか、気持ちいいとかじゃなくて生理現象だもん。こうやって変なコトするために作られた服だからだと思うんだけど生地がすごく薄いの。そのせいで、そんな変化もすぐわかっちゃう。
 薄い布ごしの愛撫。剥き出しの太腿に先生の手が這う。
「んもー…いっつもいつも、なんで私ばっかり塗られたり着せられたり…こんな変なことされなきゃならないの?」
 素直に疑問。ホントにね、今だって先生は服着てて、私は外も歩けないような格好なのよ? 不公平だわ。でもそれ言うとあっさり裸になるよコノ人…
 動かしてた手を止めて一瞬考えるような間。
「夏清」
 くり、って向かい合わせにされる。見下ろされるとすごい恥ずかしいんですけどこの格好。もう見ないでってば。
 目を逸らす。無意味に床の目地を追ってみたり。
「きゃっちょっと!!」
 軽がると。どうしてそんな簡単にあっさりと。人を肩に担ぐんでしょう? この人。重くないんだろうかホントに。その体力、どうやって維持してるのかもナゾ。
「コレもいい眺めだな」
 そう言いながらおしり触ってるの。いーやーらしーい、触り方。
 立ってギリギリみたいなミニだもん、こんな風にされたら絶対めくれ上がるに決まってるもん…よかった自分で見えなくて。見えたらきっと死んじゃいたいって思ってるよ。
 そのまま担いで自分の部屋に連れこんで。
 アレ。なんかあっさり降ろされちゃった。ベッドじゃなくて床に。珍しーい。
 なんにも言わずにクロゼット開けて、中に上半身突っ込んでごそごそ何か探してるの。今の内に部屋に逃げて鍵かけたら…
「逃げるなよ」
 そーっと足を動かそうとしたらクギ刺されちゃった。背中に目でもついてますか?
「お、あったあった。やっぱり捨ててなかったな」
 クロゼットから出てきて。手にはクリーニングから返ったままの袋。また変なもん出してきたよ…
 ばさって、広げたそれは。
「…………………」
 白衣。どう見ても白衣よ。しかもよく見たら、身返しのところにちゃんと『井名里』って刺繍で入ってるの。ってことはナニ!? それはマイ白衣!?
「教師になったとき作ったんだがどうもいやでな。コレの袖がピンクになるのが」
 …そうね。先生って白いチョークと赤いチョーク、同じくらい使うもの。スーツの袖がピンクだもん。白衣だってピンクになるわよ。化繊のスーツなら払うとわりと粉が落ちるけど、木綿の白衣だと落ちにくいかもしれないな。
 そんなどうでもいいこと私が考えてる間に、先生、スーツを脱いでそれを羽織る。
「ほれ、これでお前だけじゃないだろ」
 激しく論点ズレテマス。
 きっと不機嫌な顔してたんだと思う。むーって。先生が困ったな、って顔で笑って、両手がほっぺた。するするって。
「裸に白衣の方がよかったか?」
「…絶対いや…するのも見るのも絶対いやぁ」
 どっちかって言うと後者のほうがイヤ…でも顔触ってもらうのは好き。きっと顔触るとね、私、はにゃってなっちゃうの。先生、それわかってて触るんだよ。
「すげぇ似合ってる。かわいいよ」
 キスしながら言わないで。それってすごくえっちくさいよってこと?
「うん、先生もね、白衣にあってる」
「変態教師みたいで?」
「変態教師みたいで」
 あ、ハモった。疑問形と肯定。お前の言うことなんかお見通しだよって笑ってるの。むがー悔しい。変態のお医者さんって言えばよかった。ってか、普通は白衣はお医者さんだよねぇ……でもなんか、先生は学校の先生なんだよね…それ以外考えられないって言うか。
「知ってるか?『エッチする』のHって『変態』の頭文字だって」
「しらないっ! もううそばっかり」
「コレはホント。他にないだろ?じゃあなんでHっていうんだ?」
「………」
 知らないもんそんなこと。
 半分信じかけて疑ってる私を見て楽しそうに笑ってから、先生、自分だけ椅子に座っちゃう。年末に買ったすごい高かった椅子。時々こっそり座ってみるんだけど座りごこちものすごくいいの。柔らかすぎず硬すぎず。背中のリクライニングもいいかんじ。私の部屋に置いたら確実に邪魔になるサイズだけど。
 背もたれに体預けて、足組んで。あ、なんかすごい、そうするとあやしい人体実験やってるお医者さんみたいに見えるよ先生。
 手招き。
 うーんどうしようかな。
 なんて思っても、糸で引かれるみたいにするする先生に引き寄せられる。変な引力があるのね、先生の手招き。足組んでるの戻して、先生が自分の足とんとんって。ココに乗れってこと。先生の肩に手をかけて、よいしょって。腰に先生の手。
「や、ちょっと」
 ぐい、って引かれて、足が挟まっちゃうと思ったら、ほいほいって足伸ばさせられるの。肘掛の外に。足開いて、先生の上に乗ってるの。よく考えなくてもすごい恥ずかしい格好だよ。下見ないように。先生はこの格好お気に入りなんだよねぇこの椅子買ってから。
 こうやって座ったら、視線が同じ位置だから、うん、かなり恥ずかしい格好だけど見つめ合うのは好き。
 顔近づけて、キスして。いっぱい。先生の手がボタン外してるの。四つくらいしかないからすぐ前なんかあいちゃって。ウエストからわきの下、胸。
「ん、はぁんっ」
 やっぱりすごい気持ちいいの。カラダがふわふわしてくる。先生の手が通ったトコロ、体温が上がるの。
 しつこいくらい胸いじってた手が脇を通ってお腹と背中に別れる。下着の中に、いつもみたいに入ってくる。前と後。さわさわって、お尻なでてる手と…前のほういじってる手。
「夏清ってやっぱりエッチだな。めちゃめちゃ濡れてるけど? ナース服、気に入った?」
「違うぅうんっ胸、さわるから…だよっんっ!!」
「ウソつけって。いつもはこんなじゃないだろうが」
 やだやだっなんでそんなこと言うの? 違うもん。
「んふっだめっそんなコトしないで…っよぅう」
 前いじってた手がナカに入ってく。後ろからも。いつもは二本でも右手の指だけなのに、今日は違うの。右手と左手の人差し指でナカがかきまわされる。
 同じ腕の指なら、動きが連動してるけど、全然ばらばらなの、方向も違うから。
「いっ! あんっや…」
 どんどんぐるぐる螺旋階段を昇るみたいに意識がドコかにつれていかれちゃう。もうちょっとで世界が真っ白になる、ってとこで唐突に指が抜かれた。窓から目を逸らした一瞬、稲妻を見逃したみたいなカンジ。指が出ていく時すごい音がしたような気がするけど、聞こえなかったことにする。
「せんせ、やだ、やめたら…や…」
 続けて。お願いするみたいにキスしてもだめ。顔離して、して、ってカオしても、笑ってるの。こんな中途半端なのやだ。いつもならちゃんと最後までしてくれるのに…
 かちゃかちゃって音がして、ベルト外してる。え? もう?
 それだけでどきどきしちゃうのって、やっぱり変なのかなぁ
「ひぁっ」
 下着の上から微かにふわってなでられた。それだけでくらくらするの。
「どうしてほしいか言ってみな?」
 あう。先生、ときどきホントに意地悪。こうやって言わせたいの。恥ずかしいこと。言わないと絶対続きしてくれないの。
 唇もぎゅもぎゅ動かして、準備運動。しないとムリでしょ? 普段絶対使えないセリフって、普段絶対使わない筋肉使うもん。息吸って、吐いて。さあって思ったら先生が体起こして、耳元でなんか言った。
「……………………」
 ……………………っ!!!
「……………………やだ。言えなっ!! いぁあんっやぁ」
 いつものだって恥ずかしくて言うのにものすごくチカラがいるのに、そんなセリフ言えない。絶対言えない。
 首を横に振って拒絶したら、また触られる。ちょっと引きかけた波を引き戻すみたいに。けどそれじゃ、それだけじゃ絶対的なきもちいいとこにはたどり着けない刺激。
「せっかくナースに白衣なんだからさ、今日だけ言えよ」
 目が意地悪に笑ってる。ああもう、ほんとに言わなきゃダメ? ってか、もしかしなくてもナース服にしたのはそれ言わせるための確信犯? 多分先生が選ばなくても、あの中でマトモそうに見えたのコレだけだったし、私が選んでた確率高いもの、この服。着てみたらアレなカンジってわかったけど…
 白衣もあるの知っててやった? やったでしょう?
「言えよ、ほら」
 やさしく胸を触られる。ああなんか、昔の刑事ドラマでさ、吐いたら楽になるぞ、って。無実の罪なのに私がやりました、って言わされる、そんなカンジ。しかも私に無実の罪を着せる人が犯人じゃない。これ言ったらそれもやりたがりそう。我が身のためには黙っとこう。
 体近づけて、頬くっつけて。だって顔見て言えません。大きな声でも言いたくないです。そのくらい変なこと言わされるってこと。
「………あきらせんせいの」
 ほら、もう名前の方に『先生』つけて呼べってあたりから変態入ってる。
「……………っぅん………」
 続けられなくて黙ってたら早く言えって。胸ぐりぐりって。手のひらと指。なんでそんなやらしく動かせるの?
「ふっ……ん………っきい、お…ちゅっ…ゃ……」
 もうダメ。
「…してくだ、さい」
 もうヤダ。ぐいってカラダ離されちゃう。見ないでよう顔まっか。コレだけ恥ずかしいこと言ったんだから、もうなんにも考えなくていいとこに早く連れてって。
「どこに?」
 言わなくても分かってるくせにぃ…あたってるでしょ? 下着ごしに。
「…………っうー……………」
 なんでそんな余裕なの? 私なんかもう、先生のがそこにあるってだけでダメなのに。目を閉じて息吸って息吐いて。もう悲鳴。やけくそ。叫んじゃうよ。聞こえるように。なのにー
「アソコじゃわかんないでしょ?」
 ウソばっかりウソばっかりうそばっかりぃ!!! わかってるくせにっ!!
「三文字じゃなくて四文字の、教えたでしょずっと前に」
 知ってるわよバカ!! いじわるっ!! やっぱり変態さんだよぅ誰かお願い、この人止めて。あ、だめ。止めたらだめ。ココで止まっちゃったら私のほうが変になっちゃう。もう泣きそう。
「夏清のどこにしてほしいの?」
 こういうときだけやさしい声。ずるい。絶対ずるい。
「……かすみの……」
 ココのこと隠語で言いなさいって、先生が布越しに入口にあたる。ちゃんと言えたらすぐご褒美あげるよって言ってるみたいに。
 言わなきゃダメ? って顔で見ても目がダメだよって笑ってる。言っちゃいなさいって。楽になりなさいって。違うもん、私、絶対無実だよ? あとから冤罪だもんって言っていい? 犯人は先生。罪状は、そうだな、誤診? いまお医者さんのつもりみたいだから。
「……………………」
 唇が震える。空気が漏れるみたいな音。これ以上できません。もう許して? アタマもカラダももう限界。
「悪かったって、泣くなよ」
 だって勝手に出てくるんだもん。意地悪なのにやさしくしないで。やさしくするなら最初からにして。
 薄くて柔らかくてやさしい唇が頬に触れる。左右何度も。涙をすくうために。手が下着を横にずらす。べたべたのそこ、確認するみたいに。ああもう、恥ずかしくて死にそう。ヤダヤダって言いながら、ずっと濡れてた。言わされて感じてるって知ってるから、なおさら言えって言うの。そんなのわかってる。でも言葉にすると死ぬほど恥ずかしいの。でも死ぬほど恥ずかしいけどしてほしいの。何回言ってもこの恥ずかしさは抜けなくて、いつもいつも抵抗しちゃう。
「ふぅんっ…いっ……」
 薄い膜を通しても、その熱さがカラダ中に伝わるの。やっと気持ちよくて、また涙が出る。ああもう、私、ホントにバカかも。
 どんなに激しく動いても、椅子は全然音がしない。だから、耳に届くのは体の中で響いてるのと同じ音。それからお互いの息、うめくような声。私の悲鳴。やらしいとこだけ切り取られたみたいな音の空間。そんなことにもどきどきしてるの。
 ホントは先生のことだけ言ってられないかも。
「いっ! あんっいいっダメ。もう、んんっそんなしたら、すぐっ」
 突き上げられてかき回されて、カラダ全体しびれてくるの。
「さっき中途半端だったから、いいよ。イっちまえ」
 狂ったみたいに腰振ってたら、いきなり前、つぶすみたいに触られた。しながら触られるのにめちゃめちゃ弱いの。それだけでダメになっちゃうから、一人でいっちゃうからあんまりしないでって言ってるのに。
「…ぃんっく!! やぁあぁぁあぁっ!!」
 さっき見逃した雷が直撃したみたいな快感。繋がって、刺激されてるのは下の方なのに、頭のてっぺんからびりびり来るの。カラダがくがくして、重力がどっちに制御されてるのかわからなくなって、後ろにふらーってなっちゃうの、先生が慌てて抱きしめて。
「どっち行くんだよお前は」
 やさしく抱きしめて髪なでてくれて。息が整うまで。
 一緒にいっちゃっても、一人でいっちゃっても、終わったあとはいつもやさしくて。するのも気持ちいいけど、こうしてほしくてやってるかなぁ私。
 もうちょっとこうしてようっと。

                                       2002.2.10=up.





ばれんたいんきす・前編?   ばれんたいんきす 前編?

ばれんたいんきす・後編?   ばれんたいんきす 後編?


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